ブルーマウンテンコーヒーは「ブルマン」とも呼ばれ、日本では特に人気が高く、高級コーヒーとして知られています。
その名前を耳にしたことがある人は多いでしょうが、その詳細についてはあまり知られていないかもしれません。
この記事では、なぜブルーマウンテンが日本で人気なのか、またその特徴や希少性、見分け方などについてご紹介します。
ブルーマウンテンコーヒーの栽培地域
ブルーマウンテンコーヒーがジャマイカで栽培されていることは広く知られていますが、その具体的な産地はどのようなところでしょうか。
実は、ジャマイカ東部のブルーマウンテン山脈の特定の地域、特に標高800メートル以上の場所で栽培されたコーヒー豆だけが「ブルーマウンテン」と名付けられます。
つまり、政府が認めた審査を通過した豆だけがブルーマウンテンとして認定されます。
ブルーマウンテンコーヒーの特徴
ブルーマウンテンの特徴を以下にご紹介します。
ジャマイカ政府の厳格な管理
ブルーマウンテンコーヒーが特定の地域でのみ栽培されるのは、ジャマイカ政府によって法律で定められているからです。
この地域で栽培されたコーヒーは、厳しい検査を通過する必要があります。
これには欠点豆の除去や残留農薬の検査などが含まれ、ジャマイカのコーヒー産業公社による最終的な評価を受けます。
ブルーマウンテンコーヒーと樽の使用
ブルーマウンテンコーヒーといえば、その樽入りのイメージが強いかもしれません。
この樽はもともとイギリスからの物資輸送に使われていたものを、コーヒー豆の輸送に再利用しています。
樽は湿気を適度に吸収し、温度変化を緩和する効果があるため、今でもコーヒー豆の運搬や保管に適しています。
ブルーマウンテンコーヒーは空輸する場合を除き、一般的に樽で輸送されますが、この方法はブルーマウンテンコーヒーに特有のものです。
ブルーマウンテンコーヒーが日本で人気の理由
ブルーマウンテンコーヒがなぜ日本で高い人気があるのかは、次の理由からです。
日本で愛される理由
ブルーマウンテンコーヒーが日本で広く支持されているのは、その独特な味わいにあります。
甘みと後味の良さが日本人の口に合うことから、「コーヒーの王様」とも称されています。
ブルーマウンテンコーヒーは、その80%以上が日本に輸出されており、国内では超高級コーヒーとしての地位を確立しています。
その一方で、欧米ではそのクセのなさが物足りないとされ、認知度は低いままです。
「英国王室御用達」という背景
1930年代に日本に導入された際、宣伝に「英国王室御用達」というフレーズが使われました。
これはジャマイカが当時イギリスの植民地だったことから、そのイメージを利用したものです。
実際の根拠はありませんでしたが、コーヒーを楽しむ大人の嗜好品としての高級感を強調することとなりました。
ブルーマウンテンの希少性
近年、ブルーマウンテンコーヒーが市場で見かけることが少なくなったと言われていますが、その背景には自然災害があります。
ハリケーンによる影響
2012年にジャマイカを襲ったハリケーン「サンディ」が、ブルーマウンテンの生産に大きな影響を及ぼしました。
これにより生産量が減少するとともに、品質も低下しました。
ハリケーン後の生産量は徐々に回復していますが、以前のような高品質なブルーマウンテンを見つけるのは今でも難しい状況です。
それでも現在、品質は改善されつつあり、将来的には高品質なブルーマウンテンが再び市場に戻ってくる可能性があります。
ブルーマウンテンの種類とグレード分け
ブルーマウンテンは単一の名前のもとに多くの農園が存在し、それぞれが一定の基準を満たしていればこの名を名乗ることができます。
さらに、これらの豆はジャマイカ政府による厳重な検査によりランクに分けされます。
ブルーマウンテンのグレード
ブルーマウンテンにはNo.1からNo.3までのグレードがあり、通常、市場で流通する最も高品質なブルーマウンテンはNo.1とされています。
ブルーマウンテンを初めて試すなら、No.1のストレートがおすすめです。
No.2やNo.3は主にブレンドに使用されますが、No.1もブレンドに使われることがあります。
シングルオリジンの価格
特定の農園からの単一出荷、いわゆるシングルオリジンも選べます。
これらは最高の品質を求めるバイヤーによって厳選され、通常よりも高価になります。
たとえば、100gで4,000円する豆もあり、これは非常に高価な贅沢品です。
ブルーマウンテンを購入するときの注意点
ブルーマウンテンコーヒーを選ぶ際、最も重要なのはその真正性です。
市場には偽物や低品質のブレンドが出回っています。
ブルーマウンテンの偽物が流通
ブルーマウンテンの高い名声ゆえに、市場には偽物が出回ることもありました。
近年は品質管理が改善されていますが、過去には正規の輸入量を大幅に超える偽物が流通することもありました。
また、ブルーマウンテンはその高価さから、しばしばブレンドがストレートとして売られます。
そのため、本物を確実に手に入れるには、大手企業や信頼できる専門店での購入がおすすめです。
ブルーマウンテンの見分け方
通常、ブルーマウンテンNo.1は約2,000円で販売されますが、異常に安い場合は偽物の可能性が高いです。
また、質の高い豆は、サイズが均一で欠点豆が少ないことが特徴です。
このことから、豆のサイズの均一性は、ブルーマウンテンの品質を判断する材料となります。
ブルーマウンテンの代替品としてのハイマウンテン
ブルーマウンテンと並び、注目すべきはハイマウンテンコーヒーです。
ハイマウンテンは、その高い品質に比べ価格が安いため、ブルーマウンテンの代替品として注目されています。
ハイマウンテンの位置づけ
ハイマウンテンは、しばしばブルーマウンテンの下位互換と見なされがちですが、これは誤解です。
ハイマウンテンは、ブルーマウンテンと似た環境で栽培され、「隠れた逸品」として評価されています。
そのため、一部ではブルーマウンテンの低グレードよりも高価で取引されることもあります。
価格と品質のバランス
ハイマウンテンはブルーマウンテンほど高い知名度はないものの、品質はしばしばブルーマウンテンに匹敵します。
価格が手頃であるため、コストパフォーマンスを重視するコーヒー愛好家にとって魅力的な選択肢となっています。
ブルーマウンテンコーヒーの魅力 まとめ
この記事ではブルーマウンテンコーヒーについて、多くの興味深い話をご紹介しました。
ブルーマウンテンは、その味が日本人の嗜好に合うことや、英国王室御用達というイメージ付けで、日本で人気があります。
その一方、欧米では、その癖のなさが物足りないため知名度が低いことは面白いですね。
また、その希少性ゆえに価格の高騰と偽物の流通が問題となっています。
この記事が、ブルーマウンテンコーヒーを知る一助になれば幸いです。