紅茶はその多様なバリエーションで世界中で親しまれています。
紅茶の種類が多いため、どの茶葉を選んだら良いか迷うことも少なくありません。
また、どのような飲み方や食べ物が適しているのかも気になるところです。
この記事では、紅茶の主な種類とその特徴、おすすめの飲み方などについて、詳しく解説します。
紅茶の主な産地と茶葉の特徴
紅茶は世界の30カ国以上で栽培されており、特にインド、スリランカ(セイロン)、中国が有名です。
以下では、それぞれの地域で生産される紅茶の特徴をご紹介します。
インドの代表的な紅茶
インドは世界で最大の紅茶の生産国で、特にダージリン、アッサム、ニルギリが有名です。
ダージリン
ダージリンは、インド北東部のヒマラヤ山麓のダージリン地方の標高1,200m以上の茶園で栽培されています。
癖がなく、マスカットのようなフルーティな香りが特徴で、世界三大紅茶として世界的に高く評価されています。
ダージリンには、茶摘みの時期ごとに収穫した茶葉に名前が付けられています。
-
- ファーストフラッシュ(一番摘み、3~4月)
花の香りと爽やかな渋味が特徴で、収穫量が少ないため高価 - セカンドフラッシュ(二番摘み、5~6月)
フルーティでフローラルな香味 - オータムナル(秋摘み、10~11月)
穏やかな香味
- ファーストフラッシュ(一番摘み、3~4月)
飲み方は、ダージリン特有の上品な風味を味わえるストレートティーがおすすめです。
アッサム
アッサムも、インド北東部のアッサム地方の標高50〜100mの地域で栽培されています。
その濃厚なコクと強い甘みで知られ、日常的にチャイとしても楽しまれています。
季節ごとに異なる特徴を持つ茶葉が分類されます。
飲み方は、重厚な味わいを楽しむために、ミルクティーがおすすめです。
※チャイ:ヒンディー語で「お茶」の意。砂糖を加えて甘くしたミルクティー。
ニルギリ
インド南部のニルギリ地方で栽培されるニルギリは、花や果実のような香りと渋みの少なさが特徴です。
スッキリとした風味で飲みやすいため、セイロンティーと比較されることもあります。
飲み方は、レモンティー、アイスレモンティーがおすすめです。
スリランカの代表的な紅茶(セイロンティー)
スリランカの紅茶は、主に中央の山岳地帯と南部の低地で栽培されています。
さまざまな標高や土壌、気候で栽培されることにより、独自の風味を持つセイロンティーが生産されています。
ウバ
ウバは、スリランカの丘陵地帯の東部にあるウバ地方、標高900~1,500mの地域で栽培されています。
ウバは、世界三大紅茶の一つで、爽やかな香りと特有の渋みを持ちます。
渋みが苦手な方には、ミルクティーで飲むのがおすすめです。
ヌワラエリア
ヌワラエリアは、ヌワラエリア地方の標高1,900メートル前後の涼しい気候で栽培されています。
清らかな花の香りと淡い黄金色が特徴で、フランスのシャンパンに例えられるほど高く評価されています。
ディンブラ
ディンブラは、セイロンで紅茶栽培が始まった最初の地域の一つで、標高1,100メートルから1,700メートルの高原で栽培されています。
香りと味のバランスが良く、多様な飲み方に適しています。
中国の紅茶
中国では、キームンや雲南紅茶など、個性的な紅茶が生産されています。
キームン(キーマン)
キームンは、中国の安徽省で栽培されており、イギリス人に人気の紅茶です。
甘い香りとすっきりとした後味が特徴で、世界三大紅茶の一つに数えられます。
飲み方は、芳醇な香りを味わうためにストレートティーがおすすめです。
雲南紅茶
雲南紅茶は、中国の雲南省で栽培されており、渋みや苦みが少なく、蜂蜜のような濃厚な甘さが特徴です。
ストレートティーで飲むのがおすすめです。
その他の紅茶
紅茶は、インド、スリランカ(セイロン)、中国の三大産地のほかにも多くの国で栽培されています。
ジャワ
インドネシアのジャワ島西部で栽培されています。
ほのかな香りで渋みは少なく、飲みやすい紅茶です。
スマトラ
インドネシアのスマトラ島北部で栽培されています。
コクのある濃厚な風味が特徴で、ブレンドティーによく使われています。
ケニア
アフリカのケニアの高地で多く栽培されています。
甘い香りと軽い渋みが特徴で、ティーバッグやブレンドティーによく使われています。
和紅茶
日本で栽培される紅茶を和紅茶と言い、1990年代から栽培されるようになりました。
また、その多くは静岡県や鹿児島県で生産されています。
爽やかな香りと渋みが少ないのが特徴です。
さまざまなタイプの紅茶
紅茶の名前はそのほとんどが生産地に由来していますが、その他にも、「ブレンドティー」や「「フレーバードティー」、「ハーブティー」といった種類があります。
ここではこれらの紅茶の特徴や飲み方をご紹介します。
ブレンドティー
ブレンドティーは、異なる生産地や収穫時期の紅茶の茶葉を組み合わせて作られます。
そのため、飲み方に合わせて多彩な味わいと香りが楽しめます。
イングリッシュブレックファーストティー
イングリッシュブレックファーストティーは、イギリスの朝食に合うように、主にミルクティー用にブレンドされています。
一般的にはアッサムやセイロンティーが使用されます。
フレーバードティー
フレーバードティーは、花や果物、スパイス、ハーブなどで香りづけされた紅茶です。
ベースとなる茶葉に制限はなく、ダージリンやキームンを使用することがあります。
香り付けに用いる材料にも特に制限はなく、アプリコット、ベルガモット、バラなどが一般的です。
アールグレイをはじめ、アップルティーやバニラティーなどのフレーバーティーがあります。
アールグレイ
アールグレイは、柑橘類の一種であるベルガモットのエッセンスを加えたフレーバードティーです。
古くからイギリスで愛されているアールグレイは、今では世界中でさまざまなベースの茶葉を用いて作られています。
爽やかなベルガモットの香りが特徴で、ベースとなる茶葉によって味や色が異なります。
ラプサンスーチョン
ラプサンスーチョンは、中国の福建省の武夷山で作られ、世界最初のフレーバーティーと言われています。
松の木の煙でいぶすことで、独特の香りが付けられています。
スモーキーな香りがあり、渋みが少なく、甘みが感じられるのが特徴です。
このユニークな風味が西洋で注目され、アールグレイ誕生のきっかけになりました。
ハーブティー
一般的に、ハーブティーは、ペパーミントなどの「ハーブ」を煎じ、煮出した飲み物のことを言いますが、紅茶にハーブをブレンドしたものもハーブティーと呼ばれます。
ハーブティーは、リフレッシュしたい時に適しており、ローズヒップやハイビスカス、ペパーミント、エルダーフラワーなどがよく使用されます。
紅茶の等級区分
紅茶の茶葉は「等級」という基準で区分されますが、これは品質を示すものではなく、主に茶葉のサイズを指します。
伝統的な製法で作られる紅茶には、次の5つの等級があります。
茶葉のサイズはOPからDに向かって小さくなり、D等級の茶葉は主にティーバッグに使用される小さな粒度です。
茶葉が大きいほど抽出時間が長くなるため、淹れる際は時間を長めに取ることが推奨されます。
- OP(Orange Pekoe、オレンジ・ペコー)
葉の長さが1cm前後の大型のリーフティー。茶葉の枝の尖端部分から2番目に若い葉を指す。 - BOP(Broken Orange Pekoe、ブロークン・オレンジ・ペコー)
オレンジペコを2~3mm程度にカットした茶葉。比較的、濃く抽出が早い。brokenは崩れたの意。 - BOPF(Broken Orange Pekoe Fannings、ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)
小型のブロークンスタイルの茶葉。ティーバッグ用としてよく使われる。 - F(Fannings、ファニングス)
BOPFをふるいにかけたもので、紅茶の葉の形状が下から2番目に小さい茶葉。 - D(Dust、ダスト)
葉のサイズが1mm以下の最も小さい茶葉。紅茶の等級区分の中で最も細かい粉茶状の茶葉。
※「オレンジ・ペコー」の由来
- 「オレンジ」:抽出された紅茶の色がオレンジ色に見えることに由来。
- 「ペコー」:中国語で、新芽の白い産毛を意味する白亳(pak-Ho)に由来。
紅茶と食べ物の相性
それぞれの料理に合うワインがあるように、紅茶にもそれぞれに合う食べ物があります。
このような相性の良い組み合わせを「ペアリング」と呼んでいます。
たとえば、紅茶に豊富に含まれるタンニンは脂肪を分解し、口の中をさっぱりさせる効果があるため、クリームやバターを使ったスイーツと相性が良いです。
紅茶は、焼き菓子とは全般に相性が良いですが、口当たりの軽い紅茶にはあっさりした焼き菓子を、コクのある紅茶にはずっしりとした重めの焼き菓子を合わせると良いです。
また、軽めの食事には、クセが少ないニルギリやセイロンティーが適しています。
以下では、紅茶と相性の良い食べ物の具体的なペアリングの例をご紹介します。
ダージリン×チーズ
濃厚なチーズとの組み合わせには、渋みが強いダージリンが最適です。
ウバやヌワラエリアの紅茶もチーズと良く合い、ミルクでも楽しめます。
アッサム×焼き菓子
基本的に、焼き菓子はどんな紅茶とも良く合いますが、特にアッサムの濃厚な味わいにマッチします。
キームンとの組み合わせも相性が良いです。
ニルギリ×サンドイッチ
昼食やアフタヌーンティーにぴったりのサンドイッチには、ニルギリの適度な渋みがマッチします。
ディンブラもサンドイッチと良く合う紅茶です。
ダージリン(ファーストフラッシュ)×和菓子
フレッシュな味わいのファーストフラッシュダージリンは、大福やおはぎなどの和菓子と非常に相性が良いです。
和菓子の濃厚な甘さとダージリンの爽やかな渋みが絶妙に調和します。
まとめ 紅茶の種類と特徴の一覧表
紅茶にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を理解することで、より深く楽しむことができます。
以下で紅茶の種類ごとに特徴を一覧表にまとめました。
お好みの紅茶を見つけるための参考になれば幸いです。
生産国 | 銘柄 | 特徴 | 適した飲み方 | 相性の良い食品 |
---|---|---|---|---|
インド | ダージリン | マスカットのようなフルーティーな香り | ストレートティー | チーズ、和菓子 |
アッサム | 濃厚なコクと強い甘味 | ミルクティー | 焼き菓子 | |
ニルギリ | 花や果実のような香り、渋みが少ない | レモンティー | サンドイッチ | |
セイロン | ウバ | 爽やかな香りと特有の渋み | ミルクティー | チーズ |
ヌワラエリア | 清らかな花の香り | ストレートティー | チーズ | |
ディンブラ | 香りと味のバランスが良い | どれでもOK | サンドイッチ | |
中国 | キームン | 甘い香りとスッキリした後味 | ストレートティー | 和菓子 |
雲南紅茶 | 蜂蜜のような濃厚な甘さ、渋み・苦みが少ない | ストレートティー |